高齢者は自転車を安全に乗れるのか!?

暮らし

地域に住んでいる高齢者や入院中にリハビリを受けている方の中には、自転車を安全に乗れるようになりたいと切望している人がいます。

みなさんが仕事で関わる中でも一度は出会ったことがあるのではないでしょうか?

自転車は車と違って免許が無くても乗れる上に地域によっては生活必需品にもなり得るものです。
しかし、テレビや新聞では毎日のように自転車事故の報道があり、乗れるに越したことはないけど危ないというのが高齢者の自転車に対する世の中の認識だと思います。

そこで、今回は高齢者の自転車事故を分析し、どのようにしたら安全に乗れるのかを述べていこうかと思います。

~本記事の要約~
1.高齢者による自転車事故は全体で3~4人に1人の確立で起きる
2.自転車事故の原因の多くはルール違反と危険な運転
3.自転車で転倒する危険性は歩く速さ、バランス、転倒経験が関係
4.まずは「自転車安全利用五則」を守ろう

①高齢者の自転車事故は案外少ない?!

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まずは、高齢者の自転車事故について見ていきましょう。

自転車対歩行者で見た時、高齢者は全体の27%を占めていました(①)
これは、高齢者が加害者側と被害者側の合計で算出されたものです。

高齢者の自転車運転によって事故を起こした割合は10%と一見低いように見えますが、そもそも高齢者の自転車乗車数が少ないため、あまり参考にならないかもしれません。

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これだけでは、高齢者の自転車が危ないかどうかは分からないので、次に高齢者の自転車事故の内訳を見ていきましょう。

②自転車事故はルール違反と危険な運転によって起きる!?

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高齢者の自転車事故の大半はルール違反危険な運転(安全運転義務の違反)が約50%を占めていました(①)。

これは衰えによる周囲への注意力不足や操作不良による影響なのかは分かりませんが、いずれにせよ以下の図の要因では、高齢者以外と比べると自転車運転時の死亡者数は多い傾向にありました。

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高齢者では体の衰えから事故を引き起こすイメージですが、単純に自転車のルールを守っていないことも原因の一つとして挙げられそうです。

もし、高齢者が自転車の運転を再開しようと考えていたら、一通りの交通ルールを把握しているか確認した方が良さそうですね!

➂自転車事故は運動機能の衰えから来る可能性あり!

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次は、自転車で転倒したことがある地域の高齢者について見ていきましょう。

今回は、Journal of Epidemiologyという論文雑誌に掲載されていたAn Epidemiological Study of the Risk Factors of Bicycle-Related
Falls Among Japanese Older Adults(日本人高齢者の自転車に関連した転倒の危険因子の疫学研究)
を簡単にご紹介します。

地域在住の自転車に乗っている高齢者を対象に自転車で転んだことがあるorない人を、それぞれ歩く速度や片足立ちの姿勢を保てる時間などを調査しました。

その結果、将来的に自転車で転ぶ可能性があると予測できる要因としては、”BMI”と”自転車以外で転んだ経験をした”ことでした。

この結果は体重が増えない&転ばない運動機能を維持できている生活を過ごすことがポイントになっている可能性があります。

④自転車を安全に運転するための5つのルール

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さて、最後に自転車を安全に利用するためのご提案をしようかと思います。

ただ、運動機能はすぐに効果を出すことは難しいので、今回は守るべき交通ルールの紹介をして終わります。

それは「自転車安全利用五則」です(③)。

自転車安全利用五則

①自転車の走行は車道が原則(歩道は例外)
②車道は左側通行

➂歩道は歩行者優先
④安全ルールを守る

➡飲酒運転・二人乗り・並進の禁止、夜間はライトを点灯、交差点での信号遵守と一時停止・安全確認
⑤子どもはヘルメット着用
➡ヘルメット着用することで致死率が3.3倍も変化します(①)

自転車に乗れるようになることで生活範囲が広がり、豊かな生活を過ごせるようになる一助になるかもしれません。しかし、危険も伴うので正しい知識を用いて支援していきたいですね。

最後までご覧いただきありがとうございました。

【参考・引用文献】
①警察庁交通局:平成29年における交通死亡事故の特徴等について
②Ryota Sakurai et al:An Epidemiological Study of the Risk Factors of Bicycle-Related Falls Among Japanese Older Adults,Journal of Epidemiology,2018
③警視庁:自転車安全利用五則

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