Twitterで流行している【パワポで論文要約】の違法性について弁護士に聞いて&まとめてみた

お金

私は思うのです。自己利益のためのなら人様の知識を勝手に使っても良いのか?とー。

はい、てことで今日はTwitter上でよく見かけるようになったパワポで論文要約の違法性について検証してみようかと思います。

最近のTwitterでは、英論文を翻訳・要約してパワポやブログでおしゃれに・分かりやすくまとめて情報発信をすることが流行しています。

一見、とても分かりやすく読みやすいのでスラスラと勉強できてしまう魔力があるように見えます。
ですが、よくよく考えると一つ引っかかる部分が。

「あれ、翻訳と要約って著作権法を違反してない?」と。
また、発信者の伝えたい内容を「引用」という形で論文を扱うことは問題ありませんが、論文の内容を公開することは引用の適応範囲内なのか?という疑問もあります。

パワポやブログで論文を翻訳・要約しているそこの君!君だよ、君!!
人様の論文を勝手にまとめてフォロワーを増やしたり所属している組織に利益をもたらそうしたりしている君!!!

たしかに、医学的な知識にエビデンスは必要。でも、ルールを守らず何でもかんでも好き放題論文の情報を出しても良いってわけではありません。

そして、それを読んで「あー、勉強になるなる」と感心しているあなた!!
みんなの知識が増えることは良い事だけど、受け入れる前に「論文を読んでないのに論文の中身がわかってしまう」ってことに疑問を持っていただきたいと思います。

ということで、今回は「Twitterで流行している【パワポで論文要約】の違法性について」というテーマで書いていこうかと思います。

ちなみに、今回の記事を書くにあたって、現役の弁護士にも相談したり様々な弁護士相談サイトや政府関連の情報などを集めたりしました。そのために課金までしました!!!

この記事を読み終わるころには、Twitterやブログで論文要約を投稿する際の注意点が分かるようになっていると思いますので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

  1. そもそも著作権・著作物って何?
  2. 弁護士が語る「パワポで論文要約」の違法性について
  3. 英論文を翻訳・翻案(要約)することに問題はないか?
  4. パワポで表現することに問題はないか?
  5. 有料・無料論文を要約することに問題はないか?
  6. 引用について
  7. 違法性についてのまとめ
  8. 合法的な「パワポで論文要約」のススメ
  9. 参考になりそうなサイト一覧
  10. 終わりに

①そもそも著作権・著作物って何?

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人生、生きてりゃ一度は耳にする「著作権」。

だが、一体コイツは何者なんだろうか?

そもそも、みなさんは著作権を扱う法律、著作権法というものがあることはご存じだろうか?
まずは著作権法の正体を見ていこう。

(目的)
第一条 この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。
e-Gov:昭和四十五年法律第四十八号 著作権法

うん、意味わかんないよね。
簡単にまとめると、著作物の利用や権利に関することを細かく決めてるよっていう法律だと思ってください。要は、著作物・著作権に関するルールですね。

では、なんとなーく意味は分かるけども説明しろと言われたら中々できない著作物著作権について見ていきましょう。

定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
二 著作者 著作物を創作する者をいう。
e-Gov:昭和四十五年法律第四十八号 著作権法

十一 二次的著作物 著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案することにより創作した著作物をいう。
e-Gov:昭和四十五年法律第四十八号 著作権法

ここまでが著作物に関する内容です(本記事の内容に関与しそうな部分だけ引用しています)。もう少し具体的に示したものが文化庁に掲載されていたので、そちらも載せておきます。

著作権法で保護の対象となる著作物であるためには,以下の事項をすべて満たすものである必要があります。
(1)「思想又は感情」を表現したものであること
→ 単なるデータが除かれます。
(2)思想又は感情を「表現したもの」であること
→ アイデア等が除かれます。
(3)思想又は感情を「創作的」に表現したものであること
→ 他人の作品の単なる模倣が除かれます。
(4)「文芸,学術,美術又は音楽の範囲」に属するものであること
→ 工業製品等が除かれます。
文化庁:著作物について

つまり、論文は著作物として扱われ、著作権法の範囲内で扱わなければならないということですね。これがパワポ要約の際にどのように影響するのかは、次以降の章で見ていきましょう。

次は、著作権に関する内容です。

(著作者の権利)
第十七条 著作者は、次条第一項、第十九条第一項及び第二十条第一項に規定する権利(以下「著作者人格権」という。)並びに第二十一条から第二十八条までに規定する権利(以下「著作権」という。)を享有する。
e-Gov:昭和四十五年法律第四十八号 著作権法

いやいや、つまり著作権ってなによ(苦笑
引用した時はそう思いました。

詳細は引用先のサイト(e-Gov)をご覧いただくとして、ざっくり言うと著作者が著作物を保護する権利ということですね。

これらをまとめると、

・著作物(自分の考えや感情を、自分の思考や技術で生み出して表現したもの)を守りつつ、文化を発展させるために著作権法というものがある
・私なりの解釈で言えば「本や音楽などの制作物は作者の表現を守りながら世の中に広めることで、物事の解釈や新たな発見が進み、文化が発展していくよね」っていうコンセプトの法律
・論文は著作物であり、著作権法の範囲の中で扱わないと犯罪者になっちゃうぞ的な意味がありそう

というものだと思います。要は、原本を変に解釈したものを世に広めるなよ?と解釈できそうです。
(この記事の著作権法・著作物・著作権の解釈がおかしければ、教えていただけるとすぐ修正します)

ということで、次は具体的に「パワポで論文要約」の問題となりそうな部分について、弁護士の証言情報をまとめていく上で見えてきたものから検証してみようかと思います。

②弁護士が語る「パワポで論文要約」の違法性について

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さて、弁護士に相談した内容を書いていく前に、今回メインで使用したサイトのご紹介。

今回、ご相談させていただいた&情報の集計を行ったのは弁護士ドットコム様です。

また、弁護士ドットコム様に加えて文化庁やその他サイト様を活用しています。引用した部分はその都度表示していきます。

では、みなさんが気になっているであろう相談内容と回答についてです。

※注意!
今回は弁護士のA先生(仮名)にご回答・ご相談させていただきました。この場を借りて感謝申し上げます。
しかし、本件の解釈はあくまで一弁護士の解釈ですので、詳しく知りたい方は
著作権情報センター文化庁、個別で弁護士にお問い合わせください。

今回、私が相談させていただいた内容は以下の通りです。

タイトル:Twitter上で英論文を翻訳してパワポで要約することに対する著作権について
【相談の背景】
TwitterでA4 8ページ程度の英論文を諸言・対象・方法・結果・考察・自分の解釈のそれぞれを1〜2文程度の簡潔的にまとめたスライド4枚に要約して、それに対しする自分の意見を100文字前後でツイートして、フォロワーを増やそうと考えている者です。

過去の当サイトを参考にスライド作成を行っていましたが、どこまでの内容・量を要約として用いた場合に翻案権の侵害となるかが疑問として残りました。
ちなみにそのスライドを見れば、論文の内容はおおよそ分かるものとします。

また、要約を語る際に判例で良く用いられる「血液型と性格の社会史事件」では「要約による引用は、翻訳による引用よりも、一面では原著作物に近いのであり、これが広く一般に行われており、実際上要約による引用を認める方が妥当」とあります。
これはつまり、翻訳が必要な文章をスライドに要約する場合は、原著作物から遠ざかるため、引用と見なされない可能性があるという事でしょうか?
お答えいただけると幸いです。

【質問1】
①上記の方法で論文を翻訳・要約してスライドを作成して自分の意見を100字前後にまとめた場合、作成したスライドの内容及び要約の量は「引用」として認められるか?

【質問2】
② 翻訳が必要な文章をスライドに要約する場合は、原著作物から遠ざかるため、引用と見なされない可能性があるか?

今回は、最初に引用したツイートを参考に作成者が使用した論文・構成を分析し、私自身がパワポ論文要約人間として相談させていただきました。

これに対して、A先生の見解はこのようになりました。

・自分なりの言い表し方でまとめれば翻案権・翻訳権はクリアできる
・引用の範囲内ならOK

どういう意味か分かりますでしょうか?

これは、著作権が「著作物(思想又は感情を創作的に表現したもの)を保護する権利」ですので、「もともとの著作物(今回で言えば原著論文)の表現ではなく、その論文のアイデア・内容を論文中の表現ではなく自分の表し方でまとめるなら”著作物の翻案権(要約などを行う権利)・翻訳権”の侵害に該当する・しないの話ではなく、「あなたが持っている知識を使用して、考えた内容を表現したものになるから大丈夫」と解釈できます。

(実際は質問の続きがありますが、おおよそまとめるとこんな感じです。あと、引用に関しては少し複雑なので後の章で解説します)

この文章を読んで「なるほど、自分の言葉で言い換えればパクっても良いのか!」と解釈したあなた。とりあえず一歩とどまれ。

次は翻案権翻訳権について知らなければなりません。
しかも、こちらに関しては弁護士・サイトごとに見解が分かれる結果となりました。

では、「英論文を翻訳・要約する」ことの合法性・違法性について見ていきましょう。

③英論文を翻訳・翻案(要約)することに問題はないか?

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外国の記事や論文を翻訳して他者・他社様に公開する時には慎重に行うべきです。
それは、作者の表現とは意に介していない内容になってしまったら、見ている人に誤解を与えてしまうという恐怖からです。

パワポ論文も同様のことが言えますが、今回は著作権法の観点から見ていきます。

と、そのまえに。
もしかしたらこの記事をみて「英語を日本語に翻訳するのに、著作権法が働くの?」と思った方もいるのではないでしょうか?

そんな方のために、こちらをどうぞ。

(翻訳、翻案等による利用)
第四十七条の六 次の各号に掲げる規定により著作物を利用することができる場合には、当該著作物について、当該規定の例により当該各号に定める方法による利用を行うことができる。
一 第三十条第一項、第三十三条第一項(同条第四項において準用する場合を含む。)、第三十四条第一項、第三十五条第一項又は前条第二項 翻訳、編曲、変形又は翻案
二 第三十一条第一項第一号若しくは第三項後段、第三十二条、第三十六条第一項、第三十七条第一項若しくは第二項、第三十九条第一項、第四十条第二項、第四十一条又は第四十二条 翻訳
三 第三十三条の二第一項、第三十三条の三第一項又は第四十七条 変形又は翻案
四 第三十七条第三項 翻訳、変形又は翻案
五 第三十七条の二 翻訳又は翻案
六 第四十七条の三第一項 翻案
e-Gov:昭和四十五年法律第四十八号 著作権法

うん、意味わかんないよね。
つまり、上記の内容に該当する条件であれば著作物を翻訳(英語を日本語に訳)したり翻案(論文の内容をまとめ)たりして使ってもいいよということです。

ちなみに、要約とは著作物の内容をある程度、点在した主となる部分が分かる程度にした著作物のことと言い表すことが多いようです。
たしか、文化庁の質問箱にこんな感じの回答があった気がしますが、現在は見れないようです。

・・・うん、第○○条が多すぎて意味わからないよね。
簡単にまとめまると、翻訳・翻案して良い場合は以下の通りです。

・私的使用の場合
・図書館等における複製
・引用
・学校教育関連
・試験問題
・視覚障碍者などのための複製 など

このことから、単純に論文の内容をそのまんまに翻訳・要約することは”引用”出ない限り、アウトではないでしょうか?
他の見解も見てみましょう。

わたしが要約について調べる中で、一番分かりやすかった見解が早稲田大学 知的財産法制研究所の学術論文における「引用」と著作権法における「引用」(末宗達行)の記事です。

こちらでは、翻訳・要約についてこのような見解がなされています。

著作権法上は、著作物を引用の方法で利用する場合には、翻訳は許されていますが(著作43条2号)、著作物を要約(翻案)して利用することは条文上、許されていないものと解されるように思われます
早稲田大学 知的財産法制研究所:学術論文における「引用」と著作権法における「引用」(末宗達行)

うーん、案の定、要約はアウトのようですね。
続いて、ネット上に拡散している弁護士の意見をまとめてみました。

・大体の内容は「条件付きで翻訳・要約OK」
・その条件の多くは「あなたの表現で翻訳・要約すること」「引用の範囲内での要約であること」
・出典を明らかにしたらOK
・元の論文(著作物)を想起させないように表現を変えれば、論文の中身が分かったとしてもOK
→しかし、民法709条に該当するかも?短文程度なら大丈夫

・論文の内容をまんま要約するのはアウト
・論文の中身が分かるように要約するのはアウト

あとは、最近まで文化庁に論文要約に関するQ&Aがあったのですが、現在は見れなくなっているようです。
私の覚えている範囲では、要約はアウトという内容だったと思います。

これらをまとめると

・論文の中身をそのまんま翻訳・要約するのはアウトっぽそう
・自分なりの表現に変えれば大丈夫そう
・無難なのは”引用”という形にすることっぽそう
・翻訳を論文と同じ意味で伝えつつ表現を変えるなら、相当な意訳センスが問われそう

です。断言できないのは、私が法律ド素人だからです。

ちなみに「自分なりの表現」というのは、論文を想起させないぐらい言い換えて説明することのようです。それって論文紹介というコンテンツとして成り立たないのでは・・・?

さて、あなたがブログやTwitterで投稿している論文要約はいかがですか?
ここまでの内容で「あれ、俺がまとめたやつって違反してそう」と思ったら削除することをオススメします。どれだけいいね、リツイート数が多くてもです。

では、次に実際にパワポで論文要約を行っている例を見ながら、合法性・違法性について考えてみましょう。

④パワポで表現することに問題はないか?

一言で説明しますと、条件さえ整っていれば大丈夫ということです。その条件というのが以下の4つがポイントとなります。

・論文の中身をそのまんま翻訳・要約するのはアウト
・自分なりの表現に変えれば大丈夫
・無難なのは”引用”という形にすること
・翻訳を論文と同じ意味で伝えつつ表現を変えるなら、相当な意訳センスが問われ

Twitterやブログに多いのが、引用部分が不明確なことです。
あたかも自分から生み出された知識かのように表現していることが多いのですが、そんな天才はわざわざTwitterやブログで情報発信なんかしません。

そこで引用時の要約・翻訳時のポイントも少しまとめてみました。

・グラフの引用時には単位欠損に注意
・論文中の意味合いそのままに翻訳しているするのは翻訳権を侵害する可能性あり
・引用の条件である「主従関係」と「引用の必要性」は明確に
・元論文のアブストラクト(要約)の表現をほぼそのまま使用するのはアウト
・スライド中の「○○には、△△が良い!」という表現は、論文著者が表現している解釈から逸脱し、表現の同一性を侵害している可能性がある

では、有料論文を引用する場合でも同様のことが言えるのでしょうか?
次の章で見ていきましょう。

⑤有料・無料論文を要約することに問題はないか?

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一言で言います、有料だろうが無料だろうがあまり関係ありません
特に有料論文の扱いには注意が必要であり、要約・翻訳の条件をクリアしてもそれによって有料論文の購買数に支障をきたした場合、著作権とは別の問題が発生する可能性があります。

とりあえず著作権法だけの問題で言うと、引用の条件を満たしている or 自分なりの表現で公表しているかが重要です。

⑥引用について

先ほどから引用はOKと書いてきました。この万能な引用とは、一体何者なんでしょうか?

と言っても、みなさんは引用という言葉は聞いたことがあるはずです。
なぜなら”引用”については小学三年生の国語で習うそうです。

では、今一度引用について思い出してみましょう。

(引用)
第三十二条 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。
e-Gov:昭和四十五年法律第四十八号 著作権法

本日、大活躍のe-Gov先生。またも意味の分からない単語がずらり並んでいますね。
ここで重要となるものは公表された著作物」「公正な慣行」「目的上正当な範囲内です。

中々聞きなれない言葉なので、実際に”引用”して解説をしてみましょう。

1 すでに公表されている著作物であること
2 「公正な慣行」に合致すること(例えば,引用を行う「必然性」があることや,言語の著作物についてはカギ括弧などにより「引用部分」が明確になっていること。)
3 報道,批評,研究などの引用の目的上「正当な範囲内」であること(例えば,引用部分とそれ以外の部分の「主従関係」が明確であることや,引用される分量が必要最小限度の範囲内であること)
4 「出所の明示」が必要(複製以外はその慣行があるとき)
文化庁 著作権課:著作権テキスト~ 初めて学ぶ人のために ~,2020,p82

大体お分かりいただけたかと思いますが、もう少しまとめますと

①公表(ネット上などに挙がっているもの)されている著作物
②引用を行う必然性(自分の主張に対する裏付けなどを行う際等)
③引用した部分がカギかっこなど、自分が表現した部分と明確に区分されている
④引用したものが、あくまで自分の主張の補足程度に収まっていること
⑤引用部分が必要以上にないこと
⑥出典を明らかにしていること

これらのすべてに該当している場合に、著作者に許可なく”引用”という形で情報を扱うことができるというわけですね。

では、パワポで論文要約は”引用”の範囲内でしょうか?

先ほど①〜⑥まとめた内容については、①・⑤・⑥の基準はほとんどのものがクリアしていそうです。問題は②・③・④です。

引用を行う必然性(自分の主張に対する裏付けなどを行う際等) について

Twitterの性質上、140文字までしか打てないことからパワポは使い勝手が良いです。
ですので、パワポのデザインと論文を以下にわかりやすく要約して伝えるかに力を注ぎがちです。

そうなると、人間どのような思考になるのか?
「この論文はみんなの興味を惹きそうだから、しっかりスライドを作って、それに合ったツイートをするぞ!」となります。

こうなると、自分の主張はおざなり。論文の主張とおんなじ事をツイートしがちです。

これって、論文を引用として使う必然性ってあるのでしょうか?

引用した部分がカギかっこなど、自分が表現した部分と明確に区分されている について

パワポで論文を扱う際に、この区分が難しい点がいくつかあります。

パワポの内容が全文論文の内容で構成されている場合
→どこからが自分表現で、どこまでが論文の内容なのか見分けがつかない(そもそもアウト風案件)

パワポ自体がデザインされすぎていて、引用部分が分からない
→特に論文の見解と自分の解釈が同じスライドに混ざっている場合

あまり、スライド内の文章で明瞭に区分化されているものを見たことが無いような気がします…。

引用したものが、あくまで自分の主張の補足程度に収まっていること について

パワポ論文要約は、論文を紹介するのがメインになってしまい、自分の主張が補足程度になってしまいがち。

文章の中に主従関係があるとしたら、自分の主張は主、引用が従でなければなりません
例えば、
「私は脳卒中患者には従来のリハビリよりも電気治療が有効だと考える。
なぜなら、○○らがそれらを比較した研究において、電気治療の方が優れていると証明されているから。
よって、脳卒中患者には積極的に電気治療を行うべきである」

これなら、主→電気治療ばんざい、従→有効性の研究となりそうです。

しかし、パワポ論文要約は
「この論文から言えるのは、電気治療が有効であると言うことだ(デザインされたパワポ論文4枚スライド、内容は論文の中身をガッツリ要約)」

となりがちです。
これでは、スライドに目が行くため主張なんてメインにはならないのでは?と思いますが、みなさんはどうでしょうか?

そもそも要約しすぎた引用は、引用として扱えない場合もあるようです。

⑦違法性についてのまとめ

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違法性についてのまとめです!

【翻訳・要約について】
・論文の内容をそのまんま翻訳してまとめるのはアウト
・論文の中身が分かりすぎるのもアウトっぽそう

ここは割と分かりやすいですね。

【引用について】
①公表(ネット上などに挙がっているもの)されている著作物
②引用を行う必然性(自分の主張に対する裏付けなどを行う際等)
③引用した部分がカギかっこなど、自分が表現した部分と明確に区分されている
④引用したものが、あくまで自分の主張の補足程度に収まっていること
⑤引用部分が必要以上にないこと
⑥出典を明らかにしていること
①〜⑥を全て守らないとアウト

パワポでは中々難しい、文章の主従関係と引用と自己主張部分の区分が鍵になりそうです。

【OK案件について】
(要約する場合)自分なりの表現で論文の内容が丸分かりしない程度に意訳、要約する
(引用の場合)引用の①〜⑥を守って使用する

ここで注意するのは、要約する場合と引用する場合は違うことですね
引用は基本的に同じ文章を扱うため、論文中の意味をそのまんま使用します。

要約は翻案権があるため、自己表現する必要があります。ややこしい。

⑧合法的な「パワポで論文要約」のススメ

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どのようにパワポ論文要約を表現したら問題なさそうか?という部分について、実際に作ったパワポを例に見ていきましょう!
※私はリハビリの専門家でもないので、職場の上司である理学療法士の方に手伝ってもらいました

【1.論文引用バージョン】例:社会参加について

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タイトルを入れるとスライド作成者の主張したい部分が分かりやすくなるので、オススメです。

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引用した部分に「図」と付けると、自分の主張と引用部分が区分されるかと思います。

また、主従関係を示すことから主(自分の主張)は以下のポイントを抑えると良いかもしれません。

・文字を大きくする
・目立つように囲う
・文字配列を上にして、引用部分より先に読者の目につくようにする

このような工夫が必要かと思います。ポイントは、とにかく引用部分との区分を明確にする事と主従関係を意識しています。

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こちらも同様で、文章の部分を引用したことが分かるように記載しています。また、文章は論文中の内容を逸脱しないように引用しております。

特に翻訳する場合は、正確に訳すことができなければ、それだけで表現の同一性から逸脱することになるので最新の注意が必要です。
ちなみに、写真は利用規則上も問題がないことを確認したフリー素材を使用しています。

引用部分に論文中の「緒言・対象・結果・考察」までまとめてしまうと、要約になりかねません。あくまで必要最低限をオススメします

また、よくあるパワポ論文要約にタイトル部分だけ引用元を書いて、他のスライドには書かないといったものがあります。

これは引用部分との区分明確性が分かりづらいことから、あまりオススメしません。
ちゃんとタイトル以降のスライドにも引用元・引用部分を記載した方が良いかと思います。

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論文を引用したスライドのオチは自分の主張を持ってきた方が主従関係をハッキリさせやすいです。

引用部分が前振りとなって、最後に「これを言いたかったんだ!」というものを提示する流れですね。あくまで引用部分は補助的扱いにするのがポイントです。

【2.論文自己表現・要約バージョン】例:目標設定

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こちらはSchunk博士の目標設定の論文を参考にして作成したものです。

特徴としては、それぞれの項目は各文献から集めているということです。
つまり、Schunk博士の5つの論文を凝縮したスライドになります。

4000文字以上ある各論文から50文字以下しか扱っていないのと、論文の要約にしては十分に的を得ているとは説明しがたい程度にとどめています。
なおかつ内容は意味合いは一緒にして、意訳しているので翻訳・翻案にはならないということが考えられます。

ただ、情報ソースが知りたいという方のために左下に簡単な情報を書いておくと、人によっては欲しい情報が得られるのかもしれません。

一番無難な方法としては、著者・出版社へ許可を取ることだと思います。

⑨参考になりそうなサイト一覧

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最後と言ったな、あれは嘘だ。
てことで、今回参考にした中で著作権について重要度が高い情報が載っているサイトをご紹介します。

弁護士ドットコム:気軽に相談ができるし、事例も見れる!

弁護士ドットコム|無料法律相談・弁護士/法律相談事務所検索ポータル日本最大級の弁護士/法律ポータルサイト。394万件の相談実績。無料法律相談・弁護士ランキング・弁護士検索でお悩み解決。他にwww.bengo4.com

今回、一番お世話になりました。様々な方の相談例を見ることもできるし、匿名で相談もできるのでとても良いサイトです!

e-Gov:法律と言えばココ!

e-Gov法令検索電子政府の総合窓口(e-Gov)。法令(憲法・法律・政令・勅令・府省令・規則)の内容を検索して提供します。elaws.e-gov.go.jp

日本の法律情報ポータルサイトと言えばe-Gov様。最強です。

裁判所:過去の判例が見れる!

裁判所 – Courts in Japan裁判所のホームページです。裁判例情報、司法統計、裁判手続などに関する情報を掲載しています。www.courts.go.jp

裁判所のサイトがあることを初めて知った方もいるのではないでしょうか?過去の判例(裁判例)が載っているので、どのような事件は、どうして有罪or無罪になったのかを見れます。
法律の文言を細かく理解するのに使用できます!

DR.ADHOC:論文要約時の注意点が分かりやすくまとまってる!

【著作権】論文をブログで紹介する時の注意点!疑問点は文化庁に聞いてみた!!著作権について調べたことをまとめました。法律の素人である私が、初歩の初歩から学んだ内容ですので、優しく理解していただけるとdoctor-adhoc.com

政府等の機関ではありませんが、論文をブログにまとめる例を参考に文化庁へのインタビューなどが載っています。めちゃくちゃ分かりやすいです!

⑩終わりに

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みなさま、いかがでしたか?

著作権について調べれば調べるほど奥が深いものだと感じました。今回の調査から、本質的に理解するには著作権の歴史からひも解く必要があると感じております。
天下のWikipedia様に著作権の歴史がまとめてあったので、興味がある方は是非ご覧ください。
(あと、Wikipedia様が募金を募集しているので是非!)著作権の歴史 – Wikipediaja.wikipedia.org

この記事を書いたのは、AreAreが生活のギモンや課題の解決に向けた情報サイトであるため、他人事とは思えなかったからです。

AreAreはこれからもみなさまへ有益なものお届けできるように努めていく次第です。
それと同時に、今回の件のように人様の情報、つまり著作権には十分注意して取り組んでおります。

みなさまもSNSに限らず、情報発信を行う際には製作者への敬意を払いつつ注意して行いましょう!

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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