~本記事の要約~
1.2020年の消費支出では食費が大きな割合を占める
2.直近4年間の各分野の消費割合は大きく変わらない
今回は高齢者世帯、特に夫婦ともに無職で年金生活をしている高齢者夫婦無職世帯の消費行動について政府がまとめた調査結果をご紹介いたします。
年金生活をしている高齢者世帯の消費を知ることで、どの分野にお金をかけているかがわかります。
つまり、お金をかけるほど重要・必要な分野がわかるということです。
よって、医療現場で働く人たちは、患者や利用者の社会参加に関する目標を考える上での参考に、同じく年金生活をしている人は自分たちとの比較ができます。
高齢者をターゲットにした事業を始めようとしている人には、起業の参考になるかもしれません。
それではみていきましょう。
①2020年の高齢者夫婦無職世帯の消費行動

今回参考にする調査は厚生労働省が毎年行っている家計調査です。
まずは最新の2020年の高齢夫婦無職世帯の消費行動についてみていきましょう。

最初に簡単に用語の説明をします。
・実収入
→いわゆる税込み収入であり、世帯員全員の現金収入を合計したものである。
・可処分所得
→「実収入」から税金、社会保険料などの「非消費支出」を差し引いた額で、いわゆる手取り収入のことである。これにより購買力の強さを測ることができる。
・消費支出
→いわゆる生活費のことであり、日常の生活を営むに当たり必要な商品やサービスを購入して実際に支払った金額である。
・非消費支出
→税金や社会保険料など原則として世帯の自由にならない支出である。
それぞれ総務省統計局より引用
グラフを見ると消費支出の約30%を占めるのは食費のようです。
次いで、交際費を含むその他の消費支出、交通・通信費と続きます。
住居費も大きな割合を占めるかと思っていましたが、この世代は持ち家であることも多いと考えると、平均ではこのくらいになるようです。
2020年はコロナが流行り出した年でもあるので、これまでの傾向と異なるのではないか、ということで2017〜2019年までの3年間の傾向についてもご紹介いたします。
②コロナ以前の3年間の高齢者の消費行動

早速、2017〜2019年の3年分の調査結果をご紹介します。



上から順に2017年、2018年、2019年の調査結果です。
実収入を見ると3万円ほどの差はあるようですが、消費支出の額は大きく変化していないようです。
各項目の割合を見ても大きな変動はありません。
2020年と比較しても、食費と交際費が約2%変動しているくらいで、コロナが流行したことを考慮しても、直近4年間の各項目の消費支出の割合はほとんど変動していないということになります。
最後に、消費行動から高齢夫婦の方々の社会参加の目標を考えると、食料関連や交通・通信関連の項目がいいのかもしれません。
なぜなら、お金をかけている分、その分野を高齢者は重要・必要と考えていると思われるからです。
社会参加の目標の例を考えると「スーパーに杖で歩いて買い物に行き、荷物を持って帰ってくる」や「公共交通機関を利用して旅行に行きたい」などが考えられるかと思います。
同様に、高齢者をターゲットにした事業を考えている人は食料・交通・通信関連の事業がいいのかもしれません。
最後までご覧いただきありがとうございました。
【参考・引用文献】
①厚生労働省:家計調査
コメント